”憶える”

秋の気配がした

朝からカンカン照りでサングラスが無いと眩しくて、眉間にシワが寄ってしまう程の日差しが照りつける。
その日差しを全身で受けながら、自転車を漕ぎながら、空を見上げたら、雲がもくもくと育っていて、青空が雲に食べられそうになっていた。

 

蝉は元気に鳴いていて、まだまだ夏は終わらなさそうだと少しうっとおしくなった。そんな一日。

 

忙しない一日を終えて帰路についていたら、どこからともなく鈴虫の鳴き声がした。
何か悲しいことがあったわけではないのに、その鳴き声を聴いて少し感傷的になった。

 

ふと夜空を見上げてみたら星が一つ光っていて、月は半分に欠けながらも街を照らしてる。

もうすぐ夏が終わるんだと少し夏のうっとおしさが恋しくなった。そんな一日。

 

夏から秋に変わっていく名前の無い今の時期が一年の中で一番寂しくて、未練がましいのかもしれない。